AED 自動体外式除細動器

救急資器材-救急車にあるもの-

AED(Automated External Defibrillator)は自動体外式除細動器と訳します。AEDは心臓に除細動、つまり電気ショックを与える機械です。

突然死の原因のそのかなりの割合を心疾患が占めているといわれています。その数は日本国内だけでもおよそ年間5万人とも言われています。この心臓突然死の大部分が「心室細動」と言われる致死的不整脈だと言われます。

心臓は本来、右心房、右心室、左心房、左心室と順番に規則正しく脈打つことでポンプ機能を果たすています。心室細動に陥るとこの4室が不規則にそれぞれがバラバラに動いてしまうような状態になります。心臓が痙攣を起こしているような状態です。

4室がバラバラに動いてしまえばポンプ機能は果たされず血液の循環はできません。本来身体を巡回するべき血液量はゼロとなり、心静止(心臓が全く止まっている状態)と同じ状態になってしまいます。当然、血液の循環を回復させることができなければ待っているのは突然死です。

この致死的不整脈への治療法が心臓への除細動、つまり電気ショックなのです。その名の通り電気ショックで細動を除きとる行為、これがAEDを活用した除細動です。

電気ショックで心室細動が戻る仕組みは意外と単純です。4室がそれぞれ不規則に動いてしまっている心臓にガツンと電気を流して一度リセット、つまり止めてしまいます。乱暴なようですが、一度リセットされた心臓は再び規則正しい動きを取り戻すという訳です。

平成2年からの救命士法制定より救急救命士が行える特定3行為のひとつであったのがこのAEDを活用した除細動でしたが、平成17年1月からの法改正により「一定の講習を受けたもの」また「緊急時であれば誰でも」AEDを用いた除細動が行えるようになりました。

AEDは病院や空港、駅、学校などたくさんの人が集まるところに配備されています。いろいろな場所でAEDを見かける機会があるのではないでしょうか?一般の方が使用できるよう町に置かれるAEDは軽量で、またパッドを胸に張って電源を入れるだけでAEDが除細動の対象かどうかを判断してくれ、必要なら充電、ショックボタンを押すだけで除細動が行えるとても簡単なものです。

高度な医療処置である除細動が救急救命士に解禁され、さらに一気に一般市民にまで認められるようになったひとつのきっかけになったのは高円宮さまの突然死であったと言われています。サッカー、ラグビーなどスポーツ好きで知られた高円宮さまがスカッシュ中に突然倒れられ亡くなった原因がこの心室細動だと言われています。

救急車に積載されているAEDは除細動はもちろんのこと心電図をモニターすることができ、またその波形を記録紙にプリントすることができるものになっています。

一般市民が使用するAEDは除細動をすべきか否かを機械がすべて判断するのに対して、救急隊が使用するAEDは波形を確認した上で救急救命士が除細動を行うかどうかを判断する要素があります。

一般市民の使用するAEDがすべてがオートの「自動」体外式除細動に対して、救急隊に積載されているAEDは波形を救命士が判断する要素がある「半自動」体外式除細動と言われます。


CPr
@paramedic119 フォローお願いします。