救急救命士の仰天現場 パラメディック119~すべては救命のために~

パラメディック119-すべては救命のために-
救急救命士のため息現場報告

パラメディック119救急救命士のため息現場消防の主役は誰だ? up data 2007.4.28

消防の主役は誰だ?

 私は現在、消防署内で救急隊員と言うポジションをこなしています。以前にも書いたことがありますが救急隊員こそ出場件数も圧倒的で住民のためにもっとも汗を流している仕事だと思っています。消防隊員を務めていた時にはやっぱり消防と言えば火消し、消防隊員こそが消防の主役だと思って仕事をしていました。災害現場で活躍する機会のほとんどないポジションでも「火災を起こさせない消防の最終目標をやっている!」と仕事に取り組む予防業務の者もいます。どのポジションもとても大切でどのポジションも必要なのです。どの仕事をしていても自分のポジションに誇りをもち崇高な思いで仕事に取り組めれば良いのです。どのポジションにいても私たち消防官の目的は同じ、住民の安全のために働いているのです。

 ところが仕事やポジションの専門性から同じ消防官でも他の係や隊のやることは実はよく分かっていないことが多いもので…。隣の芝は青く見えると言いますが同じ消防署に勤務するもの同士でも同じ事が言えることがあります。どの仕事にもそのポジションにいるからこその苦労があるもので他のポジションの人には分からない苦労があるものです。消防署の中にいても救急隊の苦労は救急隊にしか分からない部分が多くあります。消防官になってからこれまで十数年ず~っと消防隊しかやったことのないおじさんが、いつだかこんなことを言いました。
おじさん消防隊員「救急隊はいいよなぁ、出場手当ても時間外手当もたくさんもらえて」
救急隊員たち「…」

で、いつもの帰署途上。
救急隊長「あの人心無いことを言うよな」
救急機関員「本当、退職間近の先輩だから言わないけど若いヤツがあんなこと言ったら泣かせちゃうよオレは」
救急隊員「お金のために救急隊がこんな苦労していると思っているんでしょうね…。消防隊しかやったことない人ってたまにあんなこと言いますよね」
救急隊長「やったことない人には分からないよ…救急隊がどんな苦労しているかなんて、一度でも救急に乗ったことある人は絶対あんなこと言わないもんな」
救急機関員「お前がやってみろって言いたくなっちゃうよな?無資格で消防隊しかできない人ほど口は達者だからな…」
こんな心無い言葉に私たちも怒り心頭です。どこの消防署の救急隊もこんな心無い事を言われた経験があるのではないでしょうか?

 ビービービ~!救急隊出場!深夜の消防署に救急指令が流れます。この日も確か夜中の2時近くまで出場要請が途切れることなく仮眠も1時間も摂れていなかったと思います。くぅぅくぅぅ…眠たい眠たい眠たい…。金がもらえるからいいって!?ふざけるんじゃねえよ!こっちは命削って頑張っているんだ!深夜の出場は本当にこたえます。それでも私たちは救急隊、119番通報した人たちが私たちを頼りにし待っているのです。もちろん手当てはつきます、労働するのですから賃金は貰います。私たちにも養うべき家族がいます。でも私たちは救急隊、そして消防官、そこに私たちを頼りに待っている人がいるのです。救急隊じゃなくってもどのポジションの人だって「お金がもらえるからいいだろ!?」なんて言われたら気分を害するのではないでしょうか。

 病院到着。
救急隊長「ああ…本当に疲れたね」
救急隊員「本当ですね、1時間も仮眠摂ってないですもんね」
救急機関員「お茶でも買って帰ろう、なんかオレ小腹も減っちゃったよ」
救急隊員「なら病院のコンビニで何か買ってきますよ」

 深夜の消防署、深夜4時を回りもう5時になろうとしていました。事務室は真っ暗、誰もいません。救急の席辺りだけ電気をつけて3人が座っています。
救急機関員「こんな時間に働いているの俺たちだけだよな」
救急隊員「本当ですね」
救急機関員「お茶飲みながら事務片付けて寝よう」
救急隊員「そうですね、はいお茶と小腹減ったって言うからこれ買ってきましたよ」
救急隊長「あれ?このチョコレートってあれだろ?シールの入っているやつ」
救急隊員「そうです、コンビニのレジの近くに並んでいたから懐かしくって買ってきちゃいましたよ」
救急隊長「お!なんかキラキラのシールが出たぞ」
救急隊員「それそれ!オレも小学生の頃、そのキラキラが集めたくって並んで買ったんですよ」
救急隊長「オレの息子も夢中で集めていたな」
救急機関員「昔、子どもがそのシールだけ抜いてチョコレートを捨てちゃうって社会問題になったよな?」
救急隊員「ありましたね、オレの同級生も捨ててるの見られて先生にそりゃあ怒られていましたよ」
救急機関員「なんか消防みたいだねこのお菓子、そのおまけのシールがオレたち救急隊でさ、チョコレートだけは自分たちが主役だって思っているの…」
救急隊員「実際はそのおまけが主役ですからね」
救急機関員「そうだよ!チョコレートだけで誰が買う?おまけがほしくて買うんだろ?チョコレートだけじゃ捨てられてるのに…、これだけ火事が減ってこんな時間に働いているのオレたち救急隊だけじゃない、おまけが主役だよ、気付いていないのは救急の事なんて知らないおじさん消防隊員だけ」
救急隊長「夜中だってのになかなか上手いこと言うね」
救急機関員「こんな夜中まで働いているんですよ身体削って、オレは昼間に言われたあの心無い言葉にまだ怒っているの!」
救急隊員「ホント…オレも同じですよ、さてと。。終わった」
救急隊長「こっちも終わった。どうする?」
救急隊員「あと起床まで1時間もありませんね…」
救急機関員「オレは寝ますよ…少しでも横にならなくちゃいかれちゃいますよ」
救急機関員が一足早く救急寝室へと消えていきました。
救急隊員「機関だいぶご立腹ですね」
救急隊長「だな、でも言うとおりだけどね」
救急隊員「そうですね」
救急隊長「オレたちも少しでも横になろうか」
救急隊員「そうですね、またいつ要請されるか分からないし、なんてたってオレたち救急隊は消防の主役ですからね!」

 どのポジションにいようと住民のために働いている誇りを持ち、それぞれのポジションを尊重し合いたいものです。この記事へのご意見・ご感想、追加、修正などなどをお寄せください。パラメディック119ブログ版・救急救命士・消防士の待機室にコメントを残すことができます。


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