起坐呼吸

用語解説

起座呼吸(きざこきゅう)とは、仰臥位(横になった状態)で呼吸困難が増強し、座位や半座位になることで呼吸が楽になる症状を指します。これは主に心不全患者に見られる臨床的徴候ですが、肺炎や気管支喘息などの呼吸器疾患でも発生することがあります。

起座呼吸の仕組み

起座呼吸が起こる背景には以下のメカニズムがあります。

  • 臥位での血液循環の変化
    横になると、重力の影響で下半身に溜まっていた血液が心臓に戻ります。この結果、心臓への静脈還流量が増加し、心不全患者では心臓がその負荷を処理できず、肺に血液が滞留します。この状態を「肺うっ血」と言い、肺静脈圧が上昇することでガス交換能力が低下し、息苦しさを感じるようになります。
  • 座位での改善
    座位を取ると重力によって下肢に血液が分布しやすくなり、静脈還流量が減少します。その結果、肺うっ血が軽減され、呼吸困難が緩和されます。

主な原因疾患

起座呼吸は以下の疾患でよく見られます。

  • 左心不全:心臓のポンプ機能低下により肺うっ血が発生する。
  • 僧帽弁膜症:心臓弁の異常による血流障害。
  • 気管支喘息・肺炎:気道分泌物や炎症による呼吸困難。

症状と特徴

  • 横になると息苦しくなる。
  • 上半身を起こして座ると呼吸困難が軽減。
  • 夜間に悪化することが多い(交感神経抑制による心拍出量低下)。

119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
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