用語解説
死後硬直は、死亡後に筋肉が硬くなり、関節が動かしにくくなる現象です。救急隊が社会死状態を判断する要件の一つになっています。
発生の仕組み
- 死亡すると心臓が停止し、全身への酸素供給が絶たれます。
- 筋肉の収縮や弛緩に必要なエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)の産生が止まり、体内に残るATPも時間とともに消費されて枯渇します。
- ATPがなくなると、筋線維内のタンパク質「アクチン」と「ミオシン」が不可逆的に結合し、「アクトミオシン」という複合体を形成して筋肉が硬直します。
- この硬直は、筋肉が収縮したまま弛緩できなくなることで生じます。
発現と進行の順序
- 死後2時間ほどで顎や首などの小さな筋肉から硬直が始まり、手足、体幹へと広がります(ニステンの法則:頭部から足先へ下行)。
- 死後6~8時間で全身の筋肉に及び、20時間ほどで最も強くなります。
- その後30時間ほどまで硬直が持続し、48~72時間(3~4日)で徐々に解けていきます。
- 硬直の発現や持続期間は、体格や筋肉量、気温などの条件によって変化します。
119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、 大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
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