時事ネタ
呼吸器外し:射水市民病院の2医師、不起訴に 富山地検
富山県射水市の射水市民病院で人工呼吸器を外された末期患者7人が死亡した問題で富山地検は21日、殺人容疑で書類送検された、元外科部長の伊藤雅之医師(54)と、同僚だった男性医師(49)を「呼吸器の取り外しと患者の死亡に因果関係があるとするには疑いが残る」として容疑不十分で不起訴処分とした。【岩嶋悟、蒔田備憲、宮嶋梓帆】
最高裁は7日、意識不明の患者の気管内チューブを抜き、筋弛緩(しかん)剤を投与して死なせたとして殺人罪に問われた医師を有罪とし、終末期医療で医師が刑事責任を問われた事件で初判断を示した。富山地検はこの判断について言及しなかった。
県警や地検の調べでは、亡くなった7人は県内在住の54~90歳(当時)で男性4人、女性3人。6人に対しては伊藤医師が呼吸器を外し、1人は伊藤医師と共謀して男性医師が外したとされた。富山県警は08年7月、殺人容疑で2人を書類送検した。
県警が専門医に依頼した鑑定によると、3人は呼吸器を外さなくても余命が2、3時間。別の3人は12~24時間。残る1人は装着したままなら数日間は生存した可能性があったが、回復不能だった。
地検は、伊藤医師らの供述内容、県警の鑑定結果などを精査し、取り外しによって死亡したかどうかを捜査。「人工呼吸器の装着から取り外しの一連の行為は、延命措置とその中止行為に過ぎない」「2人の医師に殺意を認めることはできない」などとして不起訴処分とした。呼吸器の取り外しは正当な医療行為と認め「患者の本来の死期を早め、死なせたという評価はできない」とした。
会見した伊藤医師は「呼吸器を外したのは、人のために何かしてあげたいという志のある行為だった」と話した。
今までに延命中止を理由に呼吸器を外したケースは、北海道立羽幌病院や和歌山県立医大付属病院紀北分院であったが、いずれも容疑不十分で不起訴処分。
一方、7日の最高裁決定では「発症から2週間で回復の可能性や余命を的確に判断できる状況になく、病状を適切に伝えた上での家族からの要請ではなかった」として筋弛緩剤を投与した医師の無罪主張を退けた。
2009.12.21 毎日新聞からの引用記事
7日の最高裁判決とは変わってこちらは無罪判決、とは言え現行の中では「人工呼吸器を外す行為」をした医師は殺人罪で逮捕され送検され裁判に至る可能性があると言うことです。
リビングウィル、尊厳死などには法律や倫理、死についての考え方も人それぞれであり様々な問題が付きまといます。こういった難しい問題が棚上げになっており、中には裁きを受けることになる医師もいるという状況は今も変わっていません。
こんな状況の中、まさに救命の現場で起こっている現実をみなさんに知っていただきたいと思います。心肺停止状態の傷病者に救命処置をしている現場で救命センターに受け入れ要請を入れる際、現場の救急隊にどうしても家族に確認してほしい内容として「確認を求められること」があります。
今まさに心肺蘇生法を実施している緊迫の現場、中には狂乱状態である家族にその内容を今ここで確認するの…。救急隊にはそんな疑問、葛藤がありますが、こんな判決、いや…裁判自体が行われているとなると当然でしょうか。そんな現場の話も更新します。この判決の内容もふまえて読んでいただければ幸いです。
119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、 大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
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