実証研究実施へ―救急救命士の処置範囲拡大

時事ネタ

3行為の実証研究実施へ―救急救命士の処置範囲拡大で

厚生労働省の「救急救命士の業務のあり方等に関する検討会」は3月17日の会合で、同検討会の報告書を大筋でまとめた。報告書には、処置範囲拡大の検討対象になっていた「心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実施」など3行為について、いずれも処置範囲に追加する方向で実証研究を実施し、有効性や必要性などを確認することが盛り込まれた。

3行為はこのほか、「血糖測定と低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与」と「重症ぜんそく患者に対する吸入β刺激薬の使用」。「心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実施」については、前回の会合で有効性・安全性に関するデータが乏しいとの指摘が相次ぎ、保留になっていたが、傷病者の救命率に大きくかかわるため、救急救命士が実施する必要性が高いと判断された。

実証研究は、救急救命士による実施の有効性や必要性、実施の上で必要となる体制などを分析し、評価することが目的。厚生労働科学研究班をつくり、医療関係者と消防関係者が共同で行う。3行為はいずれも、報告書で「オンライン・メディカルコントロールの医師の具体的な指示の下で実施することが望ましい」とされており、実証研究はメディカルコントロール体制が十分に確保された複数の地域で、3行為すべてについて実施する。実施に当たっては、▽実施地域▽適応となる傷病者およびその確認方法▽救急救命士に対する教育内容―などを研究班を中心に検討する。

厚労省の担当者は会合で、研究期間は1、2年程度になるイメージだと述べた。

2010.3.17 医療介護CBnewsより引用



この内容からいくと近い将来、救急救命士の特定行為のさらなる拡大がなされることになりそうです。現場にいる救命士としては、これまでどれも「できたら良かったのに」と思ったことのある処置です。

私が個人的に思うに血糖値測定ができれば良いと思った現場が最も多いでしょうか。「糖尿病の既往症もあるし、まず低血糖だろうと思っても意識障害が著明で脳外科を外せない…」そんな現場にはけっこう出会います。

心肺停止前の静脈路確保に関しては、輸液そのものが救命に直結するかどうかは確かに疑問点があるのかもしれませんが、心肺停止前に静脈路確保ができていたなら少しは違っているのかもしれないと感じる現場はありました。心肺停止前が解禁されれば、救急救命士が静脈路確保を実施する機会が増え、スキル向上にも繋がるかと思います。

重症ぜんそく患者に対する吸入β刺激薬の使用に関しては私は現場で必要性を感じたことはほとんどないのですが、皆様はいかがでしょうか?

119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、 大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
この記事に対するご意見・ご感想をお待ちしています。SNSでのコメントを頂けると嬉しいです。

@paramedic119 フォローお願いします。