救急車炎上事故 『ほぼ仮眠なしで20時間勤務し往復100km』

時事ネタ

出動中の救急車が炎上した事故 運転の隊員は『ほぼ仮眠なしで20時間勤務し往復100km』背景に“地域の医師不足”の声(FNNプライムオンライン)

岐阜県下呂市の国道41号で12月10日早朝、救急車がガードパイプに衝突して炎上し、乗っていた救急隊員など男女3人がケガをしました。運転していた29歳の隊員はほぼ仮眠なしで20時間連続の勤務をしていて、背景に「医師不足」を指摘する声があがっています。

■救急車が黒コゲに…早朝の国道で救急車が事故を起こし炎上

12月10日午前5時前、下呂市萩原町上呂の国道41号で、市の中消防署の救急車がガードパイプに衝突し、激しい炎を上げて燃えました。

現場のガードパイプには今でもはっきりと焼け焦げた跡が残っています。
 
患者は乗っていませんでしたが、救急隊員ら6人のうち、助手席にいた救急隊長で34歳の男性、31歳の男性医師、51歳の女性看護師の3人が、足や肩を打撲するケガをしました。

■運転していた隊員は「ほぼ仮眠なし」で「約100キロの運転」

警察が過失運転致傷などの疑いを視野に捜査していますが、事故から3日が経ち、経緯もわかってきました。

下呂市消防本部によると、救急車を運転していたのは29歳の男性隊員でした。前日の午前8時半から24時間の勤務に入り、深夜の0時半から朝7時までは仮眠をとる予定でした。

しかし、仮眠時間に入った直後の午前0時50分に出動要請が入り、心疾患の男性患者(57)の自宅へ急行。

一旦、市内の下呂温泉病院へ搬送したものの、症状が重くて対応できず、およそ50キロ離れた高山赤十字病院まで転院させることになりました。

事故が起きたのは、そこから下呂市内へ戻ってきたところ。ほぼ仮眠なし、20時間連続勤務の隊員による運転でした。

下呂市消防本部の遠藤丙午消防長:
こういった夜間における長距離の救急搬送は数年前からずっとありまして、それを知りながらほかっておいたわれわれ管理職の責任は大きいと思っております。仮眠も取れずに休憩もできずに、そのまま業務にあたった。救急隊員が3人乗っていたわけですけども、3人についてはみんな同じで、みんな寝ていない。

■市議が議会で指摘した「地域の医師不足」の声

13日に開かれた下呂市議会で、市議が事故について発言しました。

鷲見昌己市議:
今回の事故は、医師不足により下呂温泉病院の機能が十分発揮されず、市外への転院搬送が増え、隊員の負担が増していることも一因のようです。

事故の背景に、地域の医師不足があると指摘の声が上がりました。

下呂市消防本部の遠藤消防長:
重症度が高いものは、市外の3次救急医療機関である高山赤十字病院や中濃厚生病院。現場到着から病院収容までに要する平均時間は約34.4分となっております。

下呂市では深夜の連続出動を抑える対策や、転院先の病院から戻るなど今回の事故と同様のケースがあった場合には30分おきの休憩を義務化するなど、再発防止策を早急に検討するとしています。

2024.12.13 FNNプライムオンラインより一部引用



12月10日に起こった岐阜県下呂市の救急車の交通事故についての追加報道です。やはり、救急隊の勤務体制が問題視され、早々に市議会にも取り上げられ再発防止策を早急に検討するとされています。

朝から勤務し、途中に休憩時間があったとしても、連続勤務のままで深夜の街を緊急走行、往復で100キロもの距離を運転している。今回の報道では消防署の勤務体制がそのものが問題視されています。

実はこんなこと、今も当たり前に続けています。消防署に待機し災害があれば1秒でも早く出場する体制を整えているのですから、この間はずっと勤務中です。確かに「20時間勤務」、そんな表現になるのが普通の感覚でしょう。(24時間中、21時間以上出場していた日の話

現場にいる者の感覚からすると、「消防署に待機している中の時間」と「出場に伴い消防署の外にいる時間」とでは心身にかかる負担は圧倒的に後者が大きいです。後者にばかり目が向いていましたが、中の時間も外の時間もどちらも労働時間で、この事故はそもそも論の問題が突きつけられているように感じました。

一昨年末に東京で起こった救急車の横転事故は17時間ほぼ出ずっぱり、消防署の外の時間の末での事故であったことを思うと、やはり今回の事故よりも状況は酷かったと思わざるを得ないです…。

消防長が早々に我々管理職の責任は大きいと認めているところに好感は持てますが、起こってから言うのは簡単だとも感じてしまう…。制度の根本に切り込めるかが注目ではありますが、そもそも論の問題であるとすれば尚更、消防本部で解決できる問題であるとは思えない。

何が異常かが分からなくなるほどに、今の体制が普通なのです。

119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、 大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
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