救急搬送の逼迫 自治体の試み注視して

時事ネタ

(社説)救急搬送の逼迫 自治体の試み 注視して

 茨城県内の病院で、救急搬送された患者に緊急性がないと判断すれば、紹介状なしに受診した際に発生する「選定療養費」を請求する運用が昨年末から始まった。同じような試みは三重県松阪市内の病院でも行われている。

 救急車の安易な利用を減らすために既存の制度を活用した取り組みの一環だが、実質的な「有料化」との指摘もあり、考えるべきことは多い。

 救急出動は年々増え、逼迫(ひっぱく)は深刻だ。現場到着までの時間は2022年、全国平均で初めて10分を超えた。コロナ禍の特殊事情がなくなった23年はやや改善したが、依然、10分を要し、救える命が救えない状況になりつつある

 むろん緊急時にはためらいなく利用できるようにしなくてはならない。だが、約半数は、結果として入院治療を必要としない軽症例で、明らかに緊急性が低いケースも依然としてあるという。

 昨年6月に運用を始めた松阪市の場合、開始後の3カ月間で、徴収の対象となったのは、入院には至らなかったケースの約1割にとどまった。この間、救急出動は前年比で2割減り、軽症者の割合も下がったといい、一定の効果はあるようだ。他方、救急要請をためらうようなことがないのかは検証する必要がある。

 ただ、選定療養費の徴収を通じて適正利用を図るというのは苦肉の策ともいえる。取り得る対策を、国レベルで検討すべき時が来ている。

 救急車の有料化については、消防庁の検討会が15年度にまとめた報告書のなかで「慎重な議論が必要」とした。経済的な理由で要請をちゅうちょする可能性や、お金を払っているのだから搬送してもらって当たり前といった考えが広まる恐れなどを懸念点に挙げている。約10年が経過し、今回の自治体の試みも踏まえ、利点や弊害などを改めて整理してはどうか。

 …続く。

2025.1.28 朝日新聞記事より一部引用


2025年1月28日、朝日新聞の社説から一部引用、ぜひご覧ください。朝日新聞さん、良い記事をありがとうございます。

記事では三重県松阪市、茨城県の取り組みを紹介し、取り得る対策を国レベルで検討すべき時が来ているとしています。今のままでは救える命が救えない状況になりつつあるとされています。

全国の消防本部もひっ迫する救急隊の状況をSNSなどで発信し、このままでは本当に必要な人が助からない事案が起こってしまうと警鐘を鳴らしています。

しかし、政令都市レベルの町でも救急隊が全隊出場中となり、運用できる隊がゼロなる、119番通報がつながらなくなる、さらには運用できる救急車がなくなってしまって順番待ちまで起こっているような状況まで発生しています。これまで、こんな時に重篤な状態になってしまった人が全くいなかったという方が不自然ではないでしょうか?

人口が100万を超える町で運用できる救急隊がゼロの時がある。この状況は、助かる可能性が十分にある人のところに、かなりの時間をかけて駆けつけなければならない事案が多々発生している。そう読み取ることの方がずっと自然だと思うのです。

救急隊は受け持ち区域である管内以外の遠くの町まで出場するのは当たり前になってしまった。ひどい日には守るべき管内にほぼ出場できずに土地勘のない町から町へと彷徨います。30分以上もの道のりを駆けつけてみると重症の傷病者がいた、こんな経験がない救急隊などいるのでしょうか?

救急車の有料化とか、選定療養費を取るとか、無料化は維持すべきだとか、様々な意見はあるのでしょうが、現場が疲弊しているのは間違いありません。全国レベルの議論はぜひぜひ進めてもらいたいものです。

少しの間コメントを解放します。ひっ迫した状況の中、助けられたかもしれない傷病者の下に駆けつけ胸が痛めたことはありませんか?コメントをいただけると嬉しいです。

119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、 大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
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