女性救急救命士の活躍

救急救命士とは

消防官は屈強な男たち、そんなイメージがありませんか?

確かに消防署にはマッチョな男性たちがたくさん勤めていますが、女性も勤務しています。さらに交替制の24時間勤務に入り、災害現場で活躍する女性消防官もちっとも珍しくありません。

婦人警官は良く聞くけど、婦人消防官ってあまり聞かない気がします。私の勤務する消防本部では女性の現場登用に積極的で、特に救急隊では多くの女性消防官が活躍しています。


女性消防官の活躍までの背景

ここまで来るには女性消防官たちの多大な苦労がありました。時代が変わっても、その慎重さゆえになかなか迅速に変化できないのが消防の…いや公務員の世界でしょうか。それは良いところであり悪いところでもあるのですが…。

これまで前例がなかった女性消防官を災害現場に出場させること。「女性消防官が男性にひけをとらず災害現場で活躍できること」を先駆者たちが証明してみせ、今があります。

先駆者の活躍があって

私が新人救急隊員だった頃、女性の救急隊長と組ませてもらったことがあります。当時は女性救急隊長は相当に珍しく、消防本部全体で見ても数えるほどでした。彼女は知識、技術において他を圧倒する実力を兼ね備えていました。

傷病者への処置、言葉使い、接遇、救急救命士が行う特定行為、そして指揮・判断は知識と根拠に基づいた素晴らしいものでした。まだまだ男性社会である消防の世界に、実力で女性の活躍の場を切り開いた人です。今でも彼女のような救急隊長になることが私の目標です。

あれからかなりの時を経て、女性の救急救命士も救急隊長もちっとも珍しくなくなりました。私もこれまで女性の救急隊長との活動はもちろん、様々な女性と活動させてもらいました。みんな口には出しませんでしたが「女性だからって絶対に男性に負けない」と言う強い信念を持って仕事に望んでいるように感じました。



しかし埋まらない壁も

とは言うものの、実際、救急現場は傷病者を担架で搬送するかなりの力仕事です。特に屈強な男性多い消防の世界で、腕力では女性はどうしたって男性には及びません。足手まといになりたくないと筋力トレーニングを行ってはいましたが、どうしても埋まらない壁もあります。

では、女性は災害現場において、足手まといなのかと言うと、決してそんなことはありません。救急隊に限らず隊活動においてバランスはとても大切です。いくら優秀な隊長でも、隊員たちの協力なしに良い活動はできません。現場活動は一人では何もできないのです。

女性救急隊員には女性だからこその良いところがあります。例えば、胸苦しさを訴える女性に心電図モニターを貼る時、最終月経や込み入った聴取する時も、やっぱり女性隊員なら活動は円滑に進みます。

指揮や判断、知識や技術の習得に性別は関係ありません。災害現場で活躍する女性は、体力では劣る部分を補うには十分な武器を身に着けていました。

災害現場で活躍する女性は

これは私の主観ですが、男性が圧倒的に多い消防署で活躍している女性消防官に共通して感じるのは、度胸と愛嬌があるということ。おじさんのセクハラ紛いの言動もスルリとかわし笑いにするような愛嬌、さらに余裕があります。紅一点でガンバル野球部のマネージャー的気質、ノリがあります。

男性ばかりの職場で隊長となり、リーダーシップを発揮して活躍する女性たち、緊迫した災害現場で冷静沈着に指揮下命する姿は、かなりカッコいいです。

私の勤務する消防本部では、女性も災害現場で当たり前に活躍しています。既に先駆者たちが、女性だって災害現場で活躍できることを証明し、今も活躍し続けているからです。先駆者たちが前例を作り、それを当たり前にしているのです。


消防官になりたい女性の方へ

ここをご覧の女性で消防官になりたい方、採用される消防本部によっては、女性が災害現場で活躍するという前例がまだまだ少ないところもあるかもしれません。その前例を作り、切り開いていかないといけないかもしれません。女性が災害現場で活躍できることを証明することは恐らく想像以上に大変なことだと思います。

どの職場にも大きな変化を好まない人がいます。現状維持が好ましいと思っている上司もいます。前例がないのが大嫌いな人たちに、女性が活躍すると言う前例を作ってみせないといけないのです。(もちろん、新しい時代を迎え入れようとする仲間もたくさんいます)

まだまだ男性社会の消防の世界に女性の活躍の場所を切り開くのは、女性たち自身で切り開くものです。私がこれまで見てきた先輩たちはそうしてきました。そんな姿を見てきたから、現場で活躍することと性別はまったく関係がない、そんな風に思えるのです。みんな尊敬できるカッコいい女性ばかりでした。

災害現場で活躍する女性消防官たちの登用、この時代の流れが止まることはないでしょう。今、女性の採用に消極的な消防本部も変わらない訳にはいきません。だって、大好きな前例が既にあるのだから。

まだまだ少ない女性の消防官、女性の救急救命士、これからはちっとも珍しくない時代がやってきます。男性だろうが女性だろうが関係ありません。消防官、救急隊員のすべきことは同じ、すべては救命のためにと汗を流すだけ。そんなことに価値を感じる若者を、消防署では男性だろうが女性だろうが歓迎しています。

…なんて、私のような青二才が偉そうなことを言ってしまって申し訳ありませんでした。


この記事はコメントを解放しています。女性消防官のみなさん、女性消防官になりたい方、逆に女性隊員を持っているからこその苦労、気遣いなどなど。 男性の多い職場での女性ならではのストレスの話はよく聞く話、是非ともコメントをお寄せください。


119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、 大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
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