はじめに

救急車ってどこから来るか知っていますか?久々に会った小さな頃の友達に「今、消防官になって救急隊員をやっている」って言ったら「へぇ~、救急車って消防署から来るんだぁ、病院から来るものだと思ってた」なんて言われてしまいました。

確かに救急車ってあちこちで見かけるけど、あのサイレンを鳴らした緊急自動車の中ではいったいどんなことが起こっているんだろう?救急車なんてめったなことじゃ利用するものじゃないわけで「救急車がどこから来るのか」そんなこと疑問にも思ったことない人がいるのもある意味うなずけます。

管理人は消防官になり救急隊員をしています。交通事故、転落事故、電車事故、自殺現場、心肺停止、精神病患者、路上生活者…。事実は小説より奇なりと言いますが、まさに現場こそがありふれた小説やドラマよりもよっぽど仰天の世界が広がっています。

このサイトではあのサイレンが鳴り響く現場での経験を元に作成させていただいたお話を紹介させていただいています。

救急隊は緊急事態の人の生活の中に飛び込んでいきます、それゆえ人のプライバシーに踏み込んでゆくことも多い職業です。もちろんプライバシーに関わることはお話できませんがプライバシーに触れない範囲での現場での出来事、救急事例、みなさんが普段の生活で知りえない話が中心です。

救急隊の活動現場は、緊急事態、パニックに陥った家族を説得しつつ救命処置を行う緊迫した現場、血の海と化した現場、きっとみなさんの想像するのはこんな感じじゃないでしょうか?

テレビで紹介される「救急救命最前線」だとか「密着!救急24時」なんてタイトルの番組ではこういったまさに救急現場って感じの緊迫した現場が紹介されます。救急隊も一刻を争う緊急事態に迅速的確に対応しまさにプロの仕事ぶりを披露しています。

でも、10件の出動のいったい何件がこんな現場だと思いますか?テレビで紹介されるような緊急事態はどれだけあるのか?地方、地域によって事情は様々でしょうが、私の勤める消防署では10件中1、2件ってところでしょうか…。

「今日9時から○病院に診察してもらうことになっているから」「風邪をひいて○医院にかかっているんだけど薬がなくなったから」「今日2回救急車で病院に行ったんだけど入院させてもらえなかったから入院させてくれる病院に連れて行け」こんな人が119番通報をしていることもあるのです。

ここでは緊急事態の救急現場はもちろんのこと、救急車を利用することそのものを考える場所にしたいと思います。また救急隊員たちの現場のこぼれ話交換、事例研究などなど救急隊員たちの情報交換の場所にもなったらいいなって思います。

普通に生活していたのなら、そうそう利用しない救急車、だからこそなかなか知りえないその現場、それを知ってもらうことで救急の抱える状況、問題を少しでもみなさんに考えてもらえたなら。

そして救急車が本当に必要な時、必要な人のところに迅速に行けるように、このサイトが少しでもそんなことのきっかけになれたのなら良いのですが。