ハラスメント背景か 甲賀消防本部 今年度、全職員の1割退職

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ハラスメント背景か 甲賀消防本部 今年度、全職員の1割退職

新型コロナウイルスワクチンの未接種者への対応が問題視され、職員の離職が相次ぐ甲賀広域行政組合消防本部(滋賀県甲賀市)で、今月末に更に7人が退職予定であることが関係者への取材で判明した。これで今年度の退職者は全職員の1割にあたる20人に上る。うち救急救命士は7人を占め、職員らの間では救急活動への影響を懸念する声が上がっている。

「負担が集中」救命士7人も

「救命士を含む職員が次々に辞めていき、残った救命士に負担が集中している。組織にはもっと早く対策を取ってほしかった」

3月末で退職予定の男性救命士は毎日新聞の取材に、苦しい内情を訴えた。「責任が重い上に休みも取れず、押しつぶされてしまった。人命がかかる仕事にリスクを負いたくないと思うようになった」と明かす。

救急救命士は国家資格で、病院に到着するまでの救急車内などで医師の指示の下、心拍の回復を目的とした薬剤投与などを行うことができる。消防本部によると、法律上の規定はないが、救急車に乗る隊員3人のうち、少なくとも1人は救命士にしている。

3月末の離職で消防本部の全職員は183人、うち救命士は45人まで減る見通しだ。本部の中途退職者は2018~22年度は計26人だったが、23年度は急増し、7~9月には13人が依願退職していた。大量離職の背景にはハラスメントの存在があるとみられ、新型コロナワクチン未接種者への対応などを検証する第三者委員会も調査を進めている

男性救命士は「病院の受け入れ交渉や処置の判断、報告書の作成など、負担は大きい。他自治体の消防のように救急車に複数の救命士が乗っていれば相談や分担ができるが、職員が少ない甲賀消防では1人で抱え込まないといけないことが多い」と指摘する。上層部には現場の窮状を訴えてきたが変化は見られず、人手不足のため救急以外の仕事も兼務することになり、非番や休日にも出動を求められた。激務の中で「なぜ自分ばかりこんなに必死にならないといけないんだ。もうどうでもいい」と感じ、「市民のために」との思いが維持できなくなったという。

養成に公費1人200万円

甲賀消防は毎年、選抜した職員を京都市消防学校に半年間派遣するなどして救命士を内部養成している。本部によると、養成には1人約200万円の公費がかかるが、今年度離職する7人中5人が内部養成した救命士だ。男性は「救命士を育てるのにどれだけ労力や費用がかかっているか組織は真剣に考えるべきだ。職員を大切にすることは市民を守ることだと認識してほしい」と訴える。

ある救命士は「救命士が多くいれば現場でいろいろな見方ができ、質の高い医療が提供できる。相次ぐ離職は市民にとっても損失で、残った救命士の負担も更に増すだろう」と懸念する。

第三者委の調査結果は3月中にまとまる予定だ。男性は「組織が変わるかもしれないという期待はあるが、長年見てきたパワハラや閉鎖的な体質が本当に変わるのかという不安もある。今後の本部の対応次第では更に多くの退職者が出るだろう」と予想する。退職予定の別の男性職員は「組織が変われば戻ってきたいと思う退職者は多いのではないか。第三者委は退職者の権利救済を考えてほしい」と訴える。

消防本部は取材に対し、「退職予定の職員からハラスメントの訴えはないが、救命士の負担が大きく、休みが取りづらいという声は聞いている。救命率を上げるために救命士の存在は重要で、改善策を考えていきたい」と話した。

2024年3月9日 毎日新聞より引用



昨年12月の甲賀消防本部のパワハラ問題の続報です。職員の1割が依願退職してしまうとは驚きの内容です。今月中にも第三者委員会の調査の結論が示されるとのことですが、ここまでの記事を読むだけでも相当に闇は深そうです。

この記事では大量退職の原因がハラスメントが原因か、とされていますが、第三者委員会はどのような結論を出すのでしょうか?非番や休日にも出動を求められたとされる内容にも踏み込んだ調査を行ってくれていると良いのですが…。

119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、 大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
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