続・裸足の救急隊員

仰天の現場

裸足の救急隊員の続きです。

奥さん到着

奥さん「先生、それじゃ大丈夫なんでしょうか?」
医師「ええ、まあ、急性アルコール中毒だと思います、今、点滴をしていますのでもう少ししたら分かるようになると思いますよ」
奥さん「ああ…良かった…申し訳ありませんでした」

安堵の表情、一安心した奥さんは医師、看護師、救急隊にペコペコ頭を下げるのでした。

看護師「あの…奥さん、これどうします?」
奥さん「えっと…それは?」
看護師「ご主人の服です、シャツは吐物で汚れていたし、パンツもジーンズも…」

透明のビニールに入れられたKさんの衣服はそれは無残な姿になっていました。

奥さん「まさかこの人…下の世話までしていただいたのですか?」
看護師「ええ…まあ」

安堵から怒りの表情に…

奥さん「あんたねえ!いい加減にしなさいよ!これで何度目なのよ!冗談じゃないわよっ!」

バシッ!そう言うと奥さんはストレッチャー上に横たわるKさんの額をおもいっきりひっぱたいたのでした。

Kさん「うううぅぅぅ…」

あらら?レベル300のはずのKさんが唸った。

救急隊「まあまあ!奥さん、お気持ちは分かるけど旦那さんは今は具合が悪いのだから」

怒りから今度は悲しみの表情に…

奥さん「うぅぅぅ…情けない…ここ最近はなかったんですけど、昔に何度もあるんです、その度に漏らしているんです、いつもいつもいろんな人に迷惑をかけて…本当に申し訳ありませんでした」

今度は泣き出す奥さん、過去にも何度も同じようなことがあったとのことで…お気の毒です。

看護師「で、奥さんどうします?これ、うちで捨ててしまっても良いけど」
奥さん「はい、お願いします、捨ててください」

でもあのジーンズって確か高いヤツだったような?

看護師「いいのかしら?このジーンズとかも」
奥さん「かまいません!捨ててください!」

泣きながらも怒っている奥さん、Kさんの衣服はすべて廃棄されることになったのでした。

「急性アルコール中毒 中等症」

帰署途上

隊長「やられちゃったなぁ?」
隊員「ええ…完全にやられましたよ、はぁぁ…大人なのに…」

ズボンを巻くり上げ靴下を脱いだ隊員は足にアルコールを吹きかけていました。

隊長「本部に事情を入れておいてやるよ、帰って着替えないとな」
隊員「ええ、お願いします」

糞尿や血液などで衣服が汚れることは想定される事態です。ただ靴にまでしみるほどやられることは想定外、さすがに替えの靴までは救急車には積んでいませんでした。

隊員「それにしても奥さんも怒って泣いてって忙しかったですね」
隊長「ああ、おもいっきりひっぱたいたもんなぁ」
隊員「Kさんも唸っていましたね…観察が甘かったかな?意識レベルは300じゃなかったんですね」
隊長「まあ少しは酔いも覚めてきているからかもしれないけど、あれは乳首をつねられるより痛いんじゃないのか?」
機関員「小便もうんこも漏らすほどに酔っ払ったら気持ちよいのかもな?」
隊員「どうでしょうね?でも尿道に管を入れられて…目が覚めたら激怒している奥さんが枕元にいる訳ですよね?あんな格好で看護師に尻を拭かれて…オレは絶対に嫌ですね」
隊長「あれだけの酩酊状態だから今晩は個室管理だってさ」
機関員「それじゃ会計でまた奥さんが激怒だな」
隊員「そうでしょうね、きっと」

ホテルの1日はチェックインからチェックアウトまでですが、医療機関の1日は日付の通りであるのが一般的です。

Kさんを医療機関に運び込んだのは22時頃、23時に入院すれば1時間で日付が変わってもそれは1日分になる訳です。入院は2日分、個室管理と言うことはきっと差額ベッド代が発生していて、きっとそれは数万円だと思われます。

隊長「あのジーンズって高いのかい?」
隊員「ええ、前にベッカムがはいているとかで話題になったことがあるんですよ、詳しいことは知りませんけどきっと数万円じゃないですかね?」
隊長「差額ベッド代に自慢のジーンズ…Kさんにはずいぶん痛い出費になったな」
隊員「ズボンがやられたのはオレもですよ、これは洗いますけど靴下はもう捨てます…」
機関員「宝くじでも買ったらどうだい?」
隊長「うんが付いているって?」
機関員「そうそう!アハハハハハ~」
隊員(さすがにうんはつけられてないし…ちぇ…オヤジどもめ…)

日付が変わろうとしている深夜の町、救急車には裸足の救急隊員が乗っているのでした。

隊員「はぁぁ…足がなんかスゥーっとする…」

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