救急隊のストレス

救命士のこぼれ話

惨事ストレス

救急救命士と言えば、凄惨な現場で活動するイメージがあるのではないでしょうか?当サイトでも紹介させていただいているとおり、劇的な救命劇なんて一握り…、どの仕事もそうであるように、辛いことや苦しいこと、課題ばかりです。

助けられない現場、家族の泣き声…、ストレスじゃないか?とよく聞かれます。凄惨な現場に出場した消防官の心理的なストレスは惨事ストレスと呼ばれ、もちろんそれを感じない訳はありません。

しかし、最もストレスになるのは実は意外とシンプルで…


救急隊のストレス

救急隊の活動は24時間体制、119番通報を受ければ、いつでもどこでも急行するのが仕事です。隊長、隊員、機関員3名編成で、1当務24時間ずっと一緒にいます。

ポンプ隊、救助隊も出場していない時は、消防署に待機していて、それぞれの係事務に従事しています。いつも顔を合わせている訳ではありません。

救急隊も消防署に待機している時は3人が一緒にいることはありませんが、大都市部の救急隊は1日10件以上の出動をこなしています。出ずっぱりの状況では必然的に狭い救急車内にずっと一緒、さらに夜も仮眠室で3人でベッドを並べているのです。

家族だって24時間ずっと同じ部屋にいたらストレスを感じるものです。いくら隊がまとまっていて仲が良くても所詮は他人なのですからストレスにならない訳がありません。これが横暴な隊長、クセある隊員などが隊にいたらそれはそれは大変です…。

みなさんもウマの合わない上司、気に入らない部下の一人や二人いるのではないでしょうか?その人と24時間のうち10時間以上もの間、狭い救急車内に、しかも緊急事態に対応し、一息できる仮眠の時間にベッドを並べて寝たらどうでしょうか?胃に穴が空いてもおかしくないと思いませんか?

私がこれまで組んできた仲間は素晴らしい方が多く、お世話になった先輩も、世話をした後輩も、救急隊3人で励ましあって、時に愚痴を言って仕事をしてきたものです。

予備隊員であった時には、あちこちの正規の救急隊員の代わりにいろんな隊長と組ませてもらいました。尊敬できる隊長がたくさんいましたが、中には見本にできない隊長もいたものです…。

隊長と機関員の仲が悪くキリキリした雰囲気の隊もありました、帰署途上の救急車内の無言の時間、本当に最悪でした…。

消防官の仕事はチームで行うものばかりです。肉体的にも精神的にも辛い現場、災害現場は多々ありますが、最もストレスとなっているのは人間関係であると感じます。人間関係が良い隊、職場なら、仕事が大変なんて当たり前と割り切ることはできます。人間関係が壊れた隊での24時間…、キリキリした雰囲気…、どんな災害現場のストレスより大きかった。

…と、実は最もストレスとなるのはどこの職場とも大差ないというお話でした。もちろん、私個人の意見です。みなさんはどうでしょうか?コメント欄を開放します。消防官のストレス、救急救命士としてのストレスについて、みなさまからのご意見・ご感想をお待ちしています。


119番通報する前に1秒だけ考えてほしい、 大切な人がすぐ近くで倒れていないだろうか?今、本当に救急車が必要だろうか?と。
すべては救命のために
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